【はじめに】
障害者グループホーム等を運営する株式会社恵について、愛知県および名古屋市において、同社の運営するグループホーム事業所(5事業所)の指定取消処分が行われました。厚生労働省は、障害者総合支援法に基づく、いわゆる「連座制」を適用することとし、2024年6月26日にプレスリリースを行いました。この結果、株式会社恵が運営する100を超えるグループホームで事業ができなくなりました。
この記事では、「連座制」とは何か、どのような場合に適用されるのかについて解説します。
【連座制とは】
障害者総合支援法では、事業所が法令違反などを行った場合、指定権者がその事業所の指定を取り消すことができます。原則として、取り消されるのは不正が発覚したその事業所のみです。
しかし、例えば本社が組織的に不正に関与している場合には、不正が行われた事業所だけでなく、同じ法人が運営するすべての事業所について指定が更新できなくなります。これが「連座制」です。
つまり、一つの事業所の問題にとどまらず、法人全体の問題として不正が起きていると判断された場合には、法人全体の事業継続ができなくなるという仕組みです。
【連座制が適用される組織的関与とは】
連座制が適用されるかどうかは、「組織的関与」があったかが判断基準になります。厚生労働省の資料によれば、組織的関与とは「事業者の役員等からのメール、電話等による指示などに基づくもの」とされています。
例えば、不正請求が行われていた場合に、本社の取締役がメールや電話でその不正を指示していたとすれば、組織的関与があると評価されます。
さらに注意すべきは「役員等」という言葉です。障害者総合支援法や施行令によれば、この「役員等」には役員だけでなく、事業所の管理者も含まれます。したがって、事業所の管理者が不正について指示をしていた場合でも、連座制が適用される可能性があるのです。
【まとめ】
一つの事業所で管理者が不正を指示していた場合でも、組織的関与と判断され、連座制が適用される可能性があります。連座制が適用されれば、法人全体で事業継続が不可能となり、致命的な影響を受けます。
そのため、組織としての体制づくりや、管理者の行動を監督する仕組みは非常に重要です。日頃から法令順守を徹底し、重大なリスクを未然に防ぐことが求められます。