【はじめに】
2024年、株式会社恵に食材料費の過大徴収などを理由に、いわゆる「連座制」が適用され、大きな話題となりました。ニュースなどで「連座制」という言葉を耳にした方も多いと思いますが、実際に適用されるとどのような影響があるのでしょうか。この記事では、「連座制が適用されるとどうなるのか」について分かりやすく解説します。
【連座制の仕組み】
障害者総合支援法では、事業所が法令違反をした場合、指定権者(都道府県など)がその事業所の「指定取り消し」を行うことができます。通常は、不正があった事業所だけが取り消し対象になります。
しかし、不正が法人全体の組織的な問題であると判断されると、事情は変わります。この場合、不正を行った事業所だけでなく、同じ法人が運営するすべての事業所について「指定の更新ができなくなる」のです。これが「連座制」です。
ここで重要なのは、連座制が適用されても即座に指定取り消しになるのではなく、6年間の指定期間が満了したときに更新ができなくなるという点です。一方で、不正が直接発覚した事業所については、指定取り消し処分が出されると、1~3か月程度の猶予期間を経て、事業を続けることができなくなります。
【実際はどうなる?】
それでは実際に、指定取り消しや連座制が適用されると、事業者はどのような対応を取ることになるのでしょうか。
代表的な対応は、事業所の事業譲渡です。つまり、問題がある法人ではなく、別の新しい法人に事業を引き継ぐ方法です。株式会社恵の事案でも、実際にこの方法がとられました。譲渡先の法人は不正に関与していないため、連座制の対象にはならず、新しく指定を取得して事業を継続することが可能になります。
【他のサービスの影響は?】
一つの法人が複数の障害福祉サービスを運営しているケースも多いです。例えば、「グループホーム」と「訪問看護」を併せて行っている場合、不正がグループホームで発覚したら、訪問看護の方にも連座制が及ぶのでしょうか。
厚生労働省の資料によると、連座制は同一サービスの範囲内で適用されるとされています。つまり、グループホームで不正があっても、訪問看護の指定には直接影響しないのです。
【まとめ】
万が一、指定が取り消される可能性がある場合には、連座制が適用される可能性もあります。そのようなときには、その後の対応についてあらかじめ十分な準備をしておくことが大切です。もし準備をしていなければ、利用者に大きな影響が及ぶおそれがあります。そのためにも、上で説明した流れをしっかり理解しておくことが必要です。